■硝子の眼(仮)

苛立ち 勢いに任せ
叫ぶ 叩き付けた毒
びりり 何かの裂ける音
ぴしり 空間に浮かぶ亀裂

裏切る事は特に
悪い事では無いと
言った私の裏側
目にも止まらぬ速さ
｢貴方に槍が降りそそ、げ!｣

痺れを切らすのは
塞がれた口先
襲い来る衝動が
歪めるのは誰の心
先立つ不幸を許してね
切っ先は君の眼に
飛ばされたハートの形
一番愛しい(恨めしい)
｢割れてしまえ!｣
あれを映り込ませた
硝子の眼

[つづき]

■僕を殺すエゴイズム(仮)

僕の真実(ほんとう)を
君にぶつけたならば
君の痛む傷口を結ぶ
糸はぷつりと切れた
同じ色に染まった
昨夜は幻だったよね
知っていたよ
知らなかったよ
僕も嘘だったなんて

何もかもを葬ろう
君が生きるためだよ
分かるでしょう？
だけど今はまだ
分からなくていいよ
これが僕の信じた
君の有るべき先さ

救ってなんかないよ
守ってなんかないよ
捩じ曲げた未来が
僕を捩じ曲げてく
守られたくないよ
守りたかったのは
僕が描いた
君が歩みを進める未来

[つづき]

■遮断音(仮)

みるみるうちに
変わりゆく能面
悪意なんてもの
有りもしない
はず、なのに
君の挙動、
ひとつ ひとつ
僕の顔が反応します
恐ろしい程に
濁りゆきます

ごめんなさい

それでも僕は
僕である事を
捨てられないから、

《ガガガ…》

響くのは
回線を遮断した音。

[つづき]

■無意識の喪失(仮)

この道を このまま
どこまで 進んで行けば
溶かし癒す温もりに
辿りつけるだろう

途方もない
終りもない
笑顔も知らない
苦悩も知らない

ただ ままならない
この歩みを
止めない足も
不安の足枷

傷付いた
笑顔の記憶、
喪失 削除
遺して下さい
遺さないで下さい

素晴らしいのは
“忘却”のノイズ
激しすぎると
最早 気付かない
『性能が悪いだけ』
切り捨てたあれが
涙が固まって出来た
あの日の宝石だとも
気付かないまま

ぷつり

■光彩の末路(仮)

眠りにつきそうな花を
無理に引き止めて
今にも散り散りになりそうな
そのからだを
両手で封じ込めた

どうか、嘆かないで
生きることを。
どうか、閉ざさないで
望まれることを。

君の鮮やかなその色が
僕らを映し出した
引き込まれた僕たちに
怯えたまま消えたりしないで

目を開いても大丈夫だよ

君が恐れた禍(わざわい)は
涙の反射で消え失せました
悲しみすら、時に
人を照らすことが出来る、と
それすら君が伝えてくれたから

どうか　これ以上
引き止められないのだとしても
光だけは殺さずに...｢行っておいで｣

[つづき]