■となりはやさしさの源(仮)

散る
答えは
紛れる
逆巻く
見つめ続けるのは
砕け落ちた夢、心(しん)、

辿る
濃厚
染み入る
紅色
引き裂かれるのは
逃げ去った愛、温(おん)、

もう届かないだろう
伸ばす腕は切り落とした
もう続かないだろう
掛けた橋は君の大事な

あのひとのもの
あのひとのもの

[つづき]

■離れ小島(仮)

単独の地上
孤立した
離島
掬えど掬えど
海は満ちる
満ちるだけ
どれ程の時が
流されてゆけば
温もりへの陸路が
見えるだろう
それ程までに
迷いの色
焦燥ですら
既に無く
太陽が照らす
涙に暮れる事も無く

月も満ちる
満ちるだけ
優しさと
冷たさの
雫が滴る事も無く

希望は褪せる
褪せるだけ
産み出した彼女さえ
既に褪せた
褪せただけ

■隈(仮)

嘘をつく度に
右目の下の隈が
取り返しの付かない程
広がってゆく
そんな私を含めて
君は全部嘲笑うの
ここに在る私が
棄てられず
頑なに守る全てを

そんなにも嘲るなら
いっそ君が私だけの
全てになってくれれば
、救われる
、訳、無い、ね

侵攻は止められない
それが笑われる理由
偽るのは容易いよね
そうやって中に潜む
矛盾が私の黒に成る

[つづき]

■とんだ、手遅れ(仮)

飛び降りたのは
一年前の僕
僕　君　
手を引く悪魔
今ここから
引き金を引く
届かないまま
跳ね返された、鉛

ずしり、
ごうん、

飛び立ったのは
今現在の僕
羽根じゃない
羽根じゃない、と
理解したから言い聞かせる

手遅れだ、とあの日の
君の口が動き出す前に
安全な場所に、着地したい

[つづき]

■まるで異物のみを取り除こうとしているような(仮)

ああ またひとつ
心に毒が降る
避けられたはずのもの
害には個人差があります

気を緩めて
瞬きをした隙に
静かに落ちるのです

静かすぎて
誰も気付かない
僕もすぐには気付かない
それが害とは気付かない

けれど 確実に
病は進行してゆくのです
中で 着実に

抗体の存在しない
僕だけの猛毒として