■沈むぼく、きみ(仮)

追い詰めた人は笑ってる
細やかな温もりだけ遺した
いずれは過ぎ去ると知ってる
ただ今は自分が恋しくて

抱き締められたんだ
きつく 息も止まる時
ひび割れる声がした
木霊 引き金 耳鳴り

僕は 少し 身を引いて

ばいばいじゃないよ

でも

[つづき]

■滲み出る、明日(仮)

涙を流さないで
泣きたくなる日
そんな泣き方なんて
止めたくなりました
この気持ちを
無駄にしないで
この悲しさを
ただ殺さないで

止められた足が
震え出すのを
堪えずに叫んだら
目に映った空が
淡く 滲んだ マーブル
パステルカラーが

とても、綺麗でした

[あとがき]

■ボタン(仮)

かけ違えたボタンが
上手く外せなくて
取れ掛かって
もげた
まどろっこしかった
ひとつひとつ
次からは丁寧に
こなしてゆこう

次もその次も
間違ったりしない
あからさまなのは
その次にまた

同じ失敗

明日はきっと
大丈夫だよ

明日はきっと
また忘れるから

《くりかえし》

僕に気付いて

悔やむのはもう少し後。

■投影のシネマ(仮)

釈然としない
ハッピーエンディング
これは誰が
仕組んだ物語？
物事の理を目茶苦茶に
往生際の悪い話だわ

主役は貴方よ
知ってるわ
不幸になれとは
言わないけれど
私もあの子も
昨日も明日も
無視なんてできないの

負い目を感じてる
様子など微塵もなく
世界一幸せです
屈託の無い笑みで

私達は皆味方、
なんかじゃない
傍観者なのよ
だから様々、
ほら、例えば私みたいに

貴方なんか嫌いです
何かを捩じ曲げて
光の道をこじあけた
ハッピーエンドは嫌いです
こんな中途半端な
善者なんて許さない
隅っこのあの子の方が
もっと幸せになるべきなのよ

[つづき]

■蟻(仮)

何もかも私が代わりになって
罪も汚れも背負えたならば
君の歪む顔も、
あの日のように
幾らか安らぐのだろうか
緩やかに欠け落ちてゆく
温度を持つ塊が
私すら壊そうとしているんだよ
君を見上げ続けた小さすぎる私

どれだけ沢山のものが
踏み潰された だろう
私みたいに小さな者の
叫びも 嘆きも 消滅も
気付かれはしない
君もやっぱり同じように
周りの数多を殺したの
それなのに
それなのに
歪む君を見つめれば
潰されるより
苦しくなれた