何も無いこの森のなか
ある日、ひとりの少女が迷い込んだ
気配は少しずつ、少年のもとへ近づいてゆく
怯え揺らぐ心の気配さえ、少年のもとへ届いた
瞼を開かぬ少年、その姿を見て驚く少女
そうしてふたりは出逢った
少女は少年に道を尋ねる が
少年は森の外なんて知らない
少年にとって、人間 なんて、森を傷つける存在でしかなかったから
しかし 少年は少女の
あたたかく澄んだ声を愛してしまった
そして 少女は少年の
繊細なうたを愛してしまった
もう 戻れない
もとの場所へは 戻れない
少女は住み慣れたまちを探すことを止め
少年に寄り添ってすごした
もう 戻れない
もとの場所へは 戻れない
少年はぬくもりを知ってしまった
少女なしでは もう 生きられない
人間は愛を求める
人間は安らぎを求める
人間は快楽を求める
矛盾だらけの人間に 近づく予感
けれど、今まで生きてきた時間を取り戻すことは困難だった
森は ときに
少女を傷つけ
少女はときに
森を傷つける
苦悩する少年
けれど愛してしまったから どうすることも出来ず
嘆き、湖のほとりで 1人 うたをうたった
・・・・・・大きすぎる嘆きは
大きすぎる感情で
たくさんのものに影響をもたらす
少年の嘆きのうたは
森中に響き渡り
狩りをする男たちの耳に届いた
生まれてきてこのかた、
耳にしたこともないほどの繊細な歌声に
男達は魅了されてしまった
・・・そうして
狂った歯車は動き出す
魅了された男達は
まるで毒されたかのように、歌声の主を求め歩きまわる
嘆きつづける少年は、
大きすぎる嘆きに心を乱され、近づく気配には気付かない
嘆く歌声は
男達に居場所を教え
更なる嘆きをもたらすとも気付かず、歌い続ける
やがて、湖のほとり
歌声は男達に阻まれる
男達は欲望のまま
力ずくでも 少年を連れ帰ろうとする
歌声の異変に気付いた少女は
あわてて駆け出し
少年を見つけた瞬間、
駆け寄り、手を引いた
しかし
ちいさな少女の力では
男達の力に対抗できるはずもなく
少女は少年とともに倒れこむ
少女をかばう少年。
森に馴染まない少女。
それを見た男達は不敵な笑みを浮かべ
少年へひとつの提案をした
『君がおとなしく着いてくれば
そこの女の子はもとの街へと送りとどけてやろう』
少年は考えた末、ひとつの結論を出す
少年の故郷は森のなか
少女の故郷は街のなか
最初から、相容れないものだと気が付いた
静まる少年
不安そうな少女
2人はそれぞれ別の男に連れられ
別々の場所へと導かれ、森から離れていった
残った別の男は、森の生き物を殺していった
今まで男達の眼前に現れなかった動物達が、
次々とあらわれ、男の快楽と共に息絶えていった
少女を連れて行った男は少女の街など知りもせず、
少女は欲望の渦に巻き込まれ
ぼろぼろのまま森の近くの町外れで置き去りにされた。
…そして少女は残る力を振り絞り、森の奥へと駆け込んだ
少年を連れて帰った男は、まず少年に歌を歌わせた
・・・が、少女を失った少年はもう荒んうたしか歌えない。
男は苛立ち 少年を罵倒する が、
儚げな少年は歌わずとも人を惹き付ける何かを持っていた。
故に、少年は良いように使われた
たくさんの男の欲望を 吐き出す場とされた
・・・もう。戻れない
欲望の渦は巡り巡って
少年はいつしか青年となり
男達もいつしか年老いて
変化 が生まれはじめた
年月に精気を削られた男達が眠る夜深く
青年は穢れた場所を抜け出し、森へと走った
走り続けた先に
なにがあるとも知らずに
一心不乱に走り続け
ようやく 故郷の森に辿り着いた
ようやく
辿り着いた未来
真っ白な少年の心に
待ち受けるものはあまりにも大きく、どす黒く
虚しすぎた
○○●●●●○
[詩をね、書こうとおもったんですよ。霜月はるか†Revoの“Weiβ~幻想への誘い~”を聞いてたら、森のなかの少年の詩とか書きたいなぁーって無償に思って…
そしたら 玉砕しました
長 す ぎ る ww
そして、終盤、疲れてきたのか、やんわりと若干やびゃい系に走りましたごめんなさい
・・・・・・っていうか、書き始めたときは、“少年は盲目”っていう裏設定があったはずなのに…森まで突っ走ってますね…
森は住み慣れてますから自由に移動できると考えたとしても・・・一度しか歩いたことのない道なんか分かりませんね、普通。
懐かしい森の気配を感じながら“歩く”ならまだよかったんですけどね…書き直しませんけど(え]
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