■種(仮)

ようやく開かれた
口はもう開かなくて
伸ばした指先は
かすりもせずに宙を漂う
一度、もう一度だけ
君と言葉を交わしたい

答え聞かずに
君は何処へ行くの？
僕の温度が届く距離を
求めてよ

暗く　暗く
咲き誇った花は冷たく　深く
切り落とされた明日
残された明日、
壊す腕を掴むのは
君とつながった僕の過去

ようやく紡がれた
言葉ももう聞けなくて
震えた身体は
縋るように君の温度を待つ
せめて　一度だけでいい
君を近くに感じたい

何も見えない
僕も連れて行って
微笑む君を感じない
出てきてよ

赤く　赤く
散り急いだ君は優しく　甘く
投げ渡されたものが
育まれていく
私だけの水じゃやがて
君はやがて枯れ、消されてく


白く　白く
引き止めた風は廻(めぐ)る　強く 強く
目と耳と鼻と口
最後に見た全て
ゆっくりと僕が抱きしめる
微笑みは僕に何かを、産んだ
















●。あとがき。●

これを書いていたノートのページの一番下に、

“みーはーえ～る～”と、

恨めしい感じの文字で書いてありましたとさ。←



ちなみに、タイトルは本当に即興。
っていうか、最初書いたのは、

"朽ちた花の種は生きる"

それをめがっさ略して

“種”

・・・・安易ですねー